健康が問い直される時代 4

逆立ちからもとの姿勢にもどるとき、不器用に着地して首をひねったにちがいありません。


からだにさわってみると、案の定、心臓への血液供給を調整している、首の迷走神経に異常があることがわかりました。


それに、横隔膜が板のように固くなり、あたまに生命力の動きが感じられなくなっていることもわかりました。


トラウマがからだのなかに固著しているしるしです。


(・・・ちなみに、迷走神経はとくに注意しなければならないポイントのひとつです。


心臓の症状がじつは神経に起因し、とりわけ迷走神経に原因があるというケースをわたしはたくさん診てきています)。


オステオパシーの手技によって男のからだをゆるめると、生命力の流れが回復してきました。


治療の終わりに、男は大きく息を吸い、それを吐きだすと、痛みはもう消えているといいました。


そして、治療台からおりて、家に帰りました。


・・・それ以来、心臓に悩まされることはない、という知らせが届いたばかりです。


じつは、この話でふつうとちがっている部分は、77歳の男が逆立ちをするところにではなく、問診にじっくり時間をかけているところにあります。

健康が問い直される時代 3

男はあきれてわたしの顔を見つめると、


「もう話すことはありませんよ。


あとは、最近やっと逆立ちができるようになったことぐらいかな」


・・・と答えました。


「なんだって?77歳にもなって、逆立ちをはじめた?」


わたしはたずねました。


「そう」


男はいいました。


「このところヨーガをやってましてね。


ようやくできるようになったポーズが逆立ちなんです」


・・・男はそんなことが胸の痛みの原因になろうとは思ってもいなかったのです。


だからそれまで逆立ちのことにはふれなかったのです。


わたしはついに問題の所在を発見しました。


健康が問い直される時代 2

そのときは2、3回の治療で完全に治り、それ以来、こんにちまでずっと健康をたもっていたといいます。


それでもオステオパシーの治療が忘れられず、またたずねてくる気になったらしいのです。


男はその数週聞前に胸にとつぜんひどい痛みを覚え、救命救急室に運ばれましたが、丸2日、考えられるかぎりの検査をしてもとくに異常は見つからず、鼠踵部の感染かもしれないといわれました。


・・・ところが、処方されたくすりが100ドル以上もするしろもので、なんの効果もなかったというのです。


そこでわたしに電話をかけてよこし、数日後にはわたしの治療室に座って、病歴と生活歴にかんする微にいり細をうがつ問診を受けることになったというわけです。


男ははじめ、問診のこまかさに閉口したらしく、うんざりした口調で、病院の先生は痛みにかんするきまりきった問診以外はしなかったといいました。


しかし、そのうちリラックスしてきて、自由に話すようになりました。


およそ30分間、男は自分の生活についてあれこれ話してくれましたが、まだ足りないと感じたわたしは、もっと話してくれと頼みました。


健康が問い直される時代

近ごろでは、心得顔で病気の治療法や健康法についてしゃべる人が多くなりました。


その痛みなら、その症状ならこの方法がいい、このくすり、あの体操がいい、転地療法がいいと引きも切りません。


そんな人たちは医療制度の欠陥についてもよく知っています。


医療費の異常な高騰はだれの目にもあきらかですが、それにもまして、治療法そのものに欠陥があるのではないかという空気がひろくいきわたっています。


事実、現代医学は危機に直面していますが、その背景をなす理由は、多くの人が考えているものとはかなりちがうようです。


なにがちがうのでしょう?


このあいだ、ある男が45年ぶりにわが家をたずねてきました。


約半世紀前に診た覚えのある患者です。


第ニ次世界大戦の直後に、復員して間もなくわたしに助けをもとめてきた患者で、医師から当時の用語でいう「神経衰弱」の診断を受け、「ぼろぼろだね」といわれたということでした。

本当のチームワークとは 4

その思いとその状況を共有して動くからこそ、互いに無言の励ましを感じ合って、苦難を乗り越えていけるのです。


これからの企業活動は開発型となって個性派集団を求めます。


このような人びとが、思いと状況を共有して動くのでなければ、仕事におけるチームワークとはなりません。


さて、状況の事実から発想していくための第一は、事実をありのまま見ることです。


事実とは、解釈や感想、概念化あるいは評価など、人の手が加わっていない、その時のそのままのものを指しています。


ところがそれを、ありのまま見ることは、そう簡単ではないようです。


「空は青くない。花は美しくない」。


・・・私が20歳代にマスコミの仕事をしていたころ、ある氏から聞かせていただいた言葉です。

本当のチームワークとは 3

第三の原理のチームワークは成立しません。


道具力の結合にすぎなくなってしまうからです。


第三の原理は、「考える(「消化・発見」する)場で力を合わす」ことでした。


これを欠いて、「個」で状況の事実から発想していくことは容易ではありません。


また、「個」の人間力でやっていくこともむずかしいでしょう。


文字通りの天才はいざ知らず、わたしたち凡人の一人ひとりの視点や座標は、囚われの中にあるからです。


異質の人が、いろいろな事実を持ち寄って集まり、ワイワイガヤガヤとやる中で、それらの事実が統合され、だんだんと状況がみんなに明らかになってきて、仕事の対象が姿を現し、よりよい対応策が実ってくるのです。


このプロセスにおいて、お互いの人間力が触発され、"連鎖反応"を起こして、それが「消化・発見」へと進んでいくのであり、やがて異質な人の統合がなされていくのです。


そしてみんなに、それを何とかしたいという熱い思いとエネルギーが生まれてくるのです。

本当のチームワークとは 2

H型の仕事集団活動の3大原理は、「衆合天才」を構成するものです。


この3つの原理には、どれ一つを欠いても成りたたないという、きわめて強い相互依存関係が機能しています。


なにしろ、「衆」が集まって、ワイワイガヤガヤと、創造的に研究しながらやっていこうというのです。


第一の原理は、「状況の事実からの発想」でした。


これを欠いて、第二の原理のその人の人間力でを期待することはできません。


というのは、人間力とは、生々しい事実から「消化・発見」していくことだからです。


同様に、第三の原理のチームワークも成立しません。


・・・というのは、仕事のチームワークは、事実からの「消化・発見」という、最も人間的なプロセスで力を合わせることだからです。


第二の原理は、「その人の人間力で」でした。


これを欠いて、第一の原理の状況の事実からの発想はできません。


それは、人間力によってのみ成しうることだからです。

本当のチームワークとは

みんなで同じことをやったのでは、みんなで見たから大丈夫だと、お互いにそう思ってしまって、実はぼやっとしか見ない。


その反対に一人でそれをやれば、ここは俺だけしか知らない、ここに関しては俺は他のメンバーに何を聞かれても答えなければならないと思って調べるから、鋭く見ることになります。


そのようにしてチームに戻ったとき、鋭く見たものどうしの集まりになるから、こんどは、お互いの調べたことを鋭く聞くことになります。


すると、「一人だと先入観で見てしまう」という反論がすかさず出てきます。


そこで私は、「それなら同じことを、一人ずつ別々に調べよう」ということになります。


仕事におけるチームワークとは、「全」で「消化・発見」し、「個」で動くことを原理として、「全個全個全個」の積み重ねをくり返していくことです。


この積み重ねが頻繁なほど、素晴らしいチームワークが生まれるのです。


「個」の論理と全体の論理を対立的に見る認識は、R型しか知らない人のものです。

都市づくりを考える 10

薄汚ない住宅団地でぽつぽつと断ち切られた市街地景観を見苦しいと思う感覚こそ、今の千葉県にとって必要です。


千葉の秘蔵っ子である幕張がいくら良くなっても、幕張と千葉港の間が醜悪な市街地で埋まってしまえば、幕張自体の価値も下がってしまいます。


幕張新都心は千葉市の新しい計画的な都心です。


現在その面積は440ヘクタールで、その約半分が道路や公園その他の公的施設用地にあてられています。


そこにはタウンセンター、オフィスビル、教育施設、ホテル、サッカー ショップ、コンベンション、そして住宅が配置されます。


幕張メッセ(常設見本市施設)に接している業務市街地は十5万人の就業者がそこで働くことを想定しています。


また新都心の東半分には人口2万6千人の住宅団地がつくられる予定です。


業務地区には、先端産業の研究施設を集積するテクノガーデン、および外資系企業の事務所を収容するワールドビジネスガーデンといった高層建築群が建てられることになります。


東京湾全体のウォーターフロントのなかで幕張新都心は成功した街づくりだと評価していいでしょう。


ただ幕張新都心の性格を横浜と同じにしようとしてはいけません。

都市づくりを考える 9

特に昭和30年代後半から40年代前半にかけて、公務員住宅用の住宅団地がつくられましたが、これらの団地は一番質が悪いといって良いですね。


これらはただ住めば良いというアパート群なので、全部スクラップ化して建て替えなければいけません。


存在自体が東京湾の景観を害しているといっても良いですね。


住宅公団の団地でも、みすぼらしい団地がいくつもあります。


こういう団地では建物の寿命もきているので、早晩積極的に建て替えるべきです。


その際は住戸の密度を高くしてもっと人を入れてもいいし、あるいは同じ量の人達が入るとすれば、一戸当りの住宅規模を大きくして、ゆとりをもたせてもいいでしょう。


そのために家具 買取で不要なテレビなどを処分する必要もあります。


その結果として、高層住宅が出現しても差し支えないと思います。


必要なことは、このように住宅団地の再開発をすすめながら、団地内の樹木の量を増やし、これまでの乾いた白々しい住宅地の環境をしっとりとした林間住宅地的環境になおすことです。


千葉港から幕張までの間を海から見たときに、渚に沿って海岸の樹林地帯が長くつながってほしいのです。


そのためには建ぺい率を低くおさえる高層住宅団地があることは望ましいとも言えます。


このような質的な向上をめざさないと、千葉県や千葉市の住宅地の評価は向上しないでしょう。